CPM(クリティカル・パス・メソット)から
TQM(トータル・クオリティー・マネジメント)までと
CM(コンストラクションマネージメント)


 工事計画を行う手法として、データを工程、労務費、建設機械・工具、処分費等、申請等手続き、資材に分類する。
そして、それぞれの原価を明確にすること。
それを、CPMの手法にのっとり、最もムリ・ムダ・ムラのない工程管理をする。
その結果。従来から行われてきた不透明な計画と比較し、格段に建築工事費が削減できる。
 これを、最も効率よく実行するために、コンピュータソフトを開発した。
このシステムはあらかじめ入力されている2×4住宅建築工事に関する設計積算データと、その内容をもとに、CPMの手法によって設定されたルールに従って作動する。
 企業間のネットワークに対応するために、使用される用語は極力、財団法人 住宅金融普及協会「枠組壁工法住宅工事共通仕様書」に順じる。

CPMデータベース構成

 CPMデータベースは工種分類(2×4住宅建築工事において施工される作業内容を詳細に分類)に関連した、
工程、労務費、建設機械・工具、処分費等、申請等手続き、資材によって構成する。

<工事種目>

2×4住宅建築工事を大分類
 ここでは工程を管理するための最小単位に分割する。

1. 解体工事 9. 外部造作工事 17. HVAC工事 25. 内部建具工事
2. 仮設工事 10. 外壁工事 18. ガス設備工事 26. 内装工事
3. 防蟻工事 11. 板金・とい工事 19. ユニットバス工事 27. 雑工事
4. 基礎工事 12. 電気工事 20. キッチン工事 28. クリーニング工事
5. 躯体工事 13. 電話工事 21. 内部造作工事 29. 竣工
6. 屋根工事 14. HA工事 22. 塗装工事 30. エクステリア工事
7. 中間検査 15. HS工事 23. 家具工事
8. 外部建具工事 16. 給排水設備工事 24. 畳工事





 CPMのルールによって計算された工程を、工事種目に従ってバーチャートに転換して表示する。 
上段に計画工程、下段に実績及び修正工程を表示する。
 工程管理を実施することは、基本的に計画通りに実施することである。
計画工程と実績及び修正工程に差異が生じた場合は、必要に応じた手段を講じ計画工程に戻す。
しかしその結果、変更に要する情報の伝達、製作・出荷・職方のローテーションの変更等、多方面において原価が発生することを認識しなくてはならない。

<工事工程種目>

 2×4住宅建築工事を工程によるまとまりを持つものに分割する。

解体工事 仮設足場掛け 断熱工事 雑工事
地盤調査 躯体工事OS 気密工事 外部造作工事1
地なわ・ベンチマーク 躯体工事OP 断熱気密工事 外部造作工事2
仮設工事 金属板屋根工事1 せっこうボード工事 板金工事
地盤改良工事 金属板屋根工事2 継目処理工事 壁防水工事
くい打ち工事 金属板屋根工事3 ユニットバス据付工事 サイディング工事
布基礎工事1 金属板屋根工事4 内部壁塗装工事 外壁モルタル工事1
布基礎工事2 彩色石綿板屋根工事 内部造作工事 外壁モルタル工事2
布基礎工事3 厚形スレート屋根工事 ユニット工事 外壁タイル工事
布基礎工事4 粘土がわら屋根工事 内部塗装工事 木製外壁工事
布基礎工事5 中間検査 内装工事 外壁レンガ積み工事
布基礎工事6 電力設備基礎工事 内装タイル工事 外部造作工事3
布基礎工事7 電話設備基礎工事 電力設備仕上工事 外部塗装・吹付工事
べた基礎工事1 HA設備基礎工事 電話設備仕上工事 とい工事
べた基礎工事2 HS設備基礎工事 HA設備仕上工事 仮設足場払い
べた基礎工事3 給排水設備基礎工事 HS設備仕上工事 屋外配管工事
べた基礎工事4 HVAC設備基礎工事 給排水設備仕上工事 竣工
べた基礎工事5 ガス設備基礎工事 HVAC設備仕上工事 エクステリア
べた基礎工事6 防蟻工事 ガス設備仕上工事
べた基礎工事7 外部建具工事 雑・クリーニング







工事工程種目によって大まかなネットワーク工程を組む。その中に工種分類のネットワーク工程を組む。

 CPMはもともと、戦争の作戦をたてるための手法として開発された。
その為には、『限界工程管理』と訳されるように、目標に対していかに早く到達するかの管理が必要である。 
しかし、それを建築工事に応用するとき、施工期間を極限に短くすることだけが目的ではない。
本来、建築工事に関係する企業の目的は利益を上げることである。
そのために、工程管理と利益管理が連動することは当然である。
 『4ヶ月かかっていた工期が3ヶ月になることによって、工事管理者がより多くの現場管理ができる。
そのことによって、経費が削減でき利益が上がる』という理論をよく耳にする。
しかし、現場管理に必要な経費は、検査や確認をする作業であり、工期によって左右されない。
それどころか、無理をして工期を詰めたことによる原価流出の可能性は高い。


 その手法として次の点を考慮し、バランスをとることが大事である。

  ・現場に従事する職方を1日単位で拘束することが多い。
その為に、それぞれの作業工程が、中途半端な時間に終了しないよう、投入する人員数やその能力を考慮する。
   【例1】基礎工事の場合、コンクリートの打設がある。
作業開始にそれを計画すると、終了した後の時間は、コンクリートの養生期間に入る。
その為に、作業は継続できず無駄な時間が発生する。
   【例2】建方や造作工事のような、ある一定の日数を要する工事の場合、その規模とクルーの人数によって、その工事の総人工数が変わる。

  ・作業が無駄に重複し、作業者間の手待ちが発生しないようにする。

  ・工程の組み方によって原価が変わる。その為に、最も有効な工程を模索する。
   【例】基礎工事に、外構工事の車庫やポーチの土間工事を含む。そのことによって、分離した時に重複する、
鋤取り・コンクリート打設手間が同時に施工できる。
そのことによって、分離したときのその労務費や機械損料をを0にできる。

工程表を守るためのポイント

 基本的に、一週間を単位にした工程管理をする。残された、作業の無い日は、天候によるくるいやミスを吸収するために空けておく。




<工事発注分類>

 工種分類による施工内容を最小のグループに分類する。したがって、工事発注を工事発注分類に従って容易に分類できる。

解体工事 屋根防水工事 気密工事 雑工事
工事監督者 外部造作工事 せっこうボード工事 カーテン工事
地盤調査 軒天破風工事 ドライウォール工事 板金・とい工事
仮設工事(仮囲い) 基礎造作工事 ユニットバス工事 壁防水工事
仮設工事(工事看板) 屋根工事(金属板) 内部造作工事 サイディング工事
仮設工事(仮設トイレ) 屋根工事(屋根用 塗装工事 ラス張り工事
電力設備工事 化粧スレート) フロアー張り工事 左官工事
給排水設備工事 屋根工事(厚形スレート) ユニット工事(キッチン) 外壁タイル工事
仮設工事(乗入れ養生) 屋根工事(粘土がわら) ユニット工事(家具) 積石工事
地盤改良工事 屋根工事(板金) 畳工事 外部吹付工事
くい打ち工事 HA設備工事 内部建具工事 エクステリア工事
基礎工事 HS設備工事 内装工事
し尿浄化槽工事 HVAC設備工事 タイル工事
防蟻工事 ガス設備工事 電話設備工事
仮設足場工事 外部建具工事 防水工事
躯体工事 壁断熱工事 クリーニング工事





作業手順
カレンダーで作業日を設定します



業者と労務費単価を登録する。

 本来のCPMでは、職方の能力に応じた能力給によって運用されることが基本である。
しかし、現状では、職方の登録及びその査定管理、又、それの運用が非常に高度な作業となるため、それぞれの発注先の登録と出力帳票に使用される略称に対し、1人工に当る基本労務費を設定し運用する。



施工数量・単位のデータ確認

 予め設計積算データには歩掛りあるいは、構成人員と日数が入力されている。
その内容を確認し、これから計画しようとする工事計画の職方の能力をもとに、データを調整する。

 人工のシュミレーションをするには【工種分類別】に詳細に確認できる画面に切り替わる。

 調整日数は、工事計画時に天候によって考えられる休業日であったり、工事が遅延する要素が考えられる場合、予め設定しておくことにより、工事に遅れが生じたとき調整し、計画された工程に修正できる。
このことによって、次工程への影響をを食い止められる。



【工種分類別工程管理】を併用し工程データを完成する

 工事工程種目毎に、必要とする作業日数及び作業人員をシュミレーションし、計画工程を組む。





【工事工程種目別工程管理】を併用し工程データを完成する

 工事工程種目毎に表示された工程を確認する。
更に、下職の作業ローテーションを加味し調整する。

 工事計画は、ネットワーク工程管理によって計画する。
しかし、実際の管理運用にはバーチャートを使用する。
その理由は、結果のみを明確に表示し指示できること。
いかなるレベルの工事関係者にも理解できることが目的であるためである。




工事発注から工事発注先を決める

 簡便な操作によって、工種分類にルール付けられた工事発注業者を決める。



建設機械・工具規格、機械・工具数量、機械・工具単位のデータ確認

 機械・工具単価を決める。
 建設機械・工具発注先を決める。



処分費等・処分費等数量・処分費等単位のデータ確認
 処分費等単価を決める。
 処分費等発注先を決める。



申請等手続き・申請等数量・申請等単位のデータ確認
 申請等単価を決める。
 申請等発注先を決める。



メーカー、品名、規格・品番、資材数量、資材単位のデータ確認
 資材単価を決める。
 資材発注先を決める。
 工事において使用される資材は、施工する職方の能力によって不足することも考えられる。
その場合によっては調整が必要なこともある。



 ここで扱われる数量は、設計図書等から算出されたデータを基に、実際に購入するデータに変換する。
たとえば栗石・砕石については、計算上2.5m3となった場合、資材数量は3m3となり4t車による購入単価を使用し、バラで購入できる資材、梱包単位でしか購入できない資材等も使い分ける。

 サイディング・内装壁材・床材・天井材などの一枚単位の施工面積が大きな建材は、割付によって使用される枚数が変わる。
そのため、使いまわしを十分に考慮した割付図等によって施工指示をし、その枚数にロス材を追加して発注する。
このような考慮がなされずに資材を搬入した場合、もし割付図等の施工指示が明確でなかったら、施工者の判断で使用される。
そのため、資材が不足し追加注文することになる。
この場合には、当然端材である残材の量も増加する。
又反面、もし割付図等の施工指示が明確でないために、ロス材を多く見過ぎて搬入し,残材となった場合には、余分に購入した金額とそれを搬出する金額、それを処分する金額が余分にかかることになる。
では、それがもったいないからといって、ビルダーの倉庫に保管する。
その場合、倉庫に搬送する費用・倉庫に保管する費用・保管された材料を管理する費用・再利用するために建築現場に搬入する費用がかかることになる。
もっとひどいケースでは、結局使えなくなって更に費用をかけて処分することにもなる。
いったん仮置きされた資材は、経理上どう扱うか。
いったん、建築現場からビルダーの共通原価の中に買い上げ、そこに掛かる倉庫費用と金利を加算しながら在庫管理される。
つぎに、再利用するときには、そこに計算された原価で買うことになる。
移動するたびに運賃や労務費が加算さるので、その資材は通常購入する価格と比較して、非常に高価になる。
それが明確に管理されないと、建築工事の原価管理が不明確なものになってしまう。

 また、搬入時期については、運賃を節約するために、搬送車両を単位にした搬入が、一般的に多く見られる。
そのことにより、工事現場に早く搬入された資材は、施工の邪魔になる。
本来、施工すべきはずの職方が、それを移動する。
更には、工事現場の作業環境が悪くなり、施工効率を下げることにもなる。
そのためには、資材搬入は施工時期とうまくタイミングを計り、発注漏れがあったり搬入の遅れが無いように、リードタイムを十分に認識して管理する。

 搬入する資材は、作業の邪魔にならない位置であるとか、積み重ねであるとか方向など作業効率上げることを考慮し指示する。

 資材による、ムリ・ムダ・ムラは事前の作業や管理をしっかり行うことにより、簡単になくすことができる。


単価マスターの登録

 当該物件で使用した単価で、単価マスターを更新する。
 データが整理されましたら、登録ボタンによってマスターを更新します



単価マスター






【工事予算計画】によって決められたデータの分析結果を確認する
 工事種目別に計画された予算を集計する。
 工事種目ごとの配分比率を確認する。
 集計されたデータを更に、躯体工事・外部仕上工事・設備工事・内部仕上工事に分類し、それぞれの合計金額及 び累計金額を計算する。それぞれの費用のバランスを確認する。
 更に、それぞれの合計金額及び累計金額を、u及び坪当りの単価によって計算する。
そのことにより、工事管理者の経験知によっ て、大きなミスを防ぐ。
 設計積算時には、分析された結果を基に、住宅建設予算額と要望されるプランの優先順位等と比較し、工事費の バランスを調整する。




工事原価内訳書をつくる

 工事原価内訳書と工事原価一覧表をつくる。
 すべてのデータ一覧する。



発注内訳書を発行する

 業者への発注内容の確認と発注内訳書の発行をする。
 工事計画されたデータを発注先毎、更に、労務費、機械・工具、処分費等、申請等、資材に分類して集計する。
 ここで計算される金額データには、発注先の経費に関する金額は反映しない。
当該システムで扱われるデータは、 あくまでも、建築工事に直接かかるコストのみを取り扱う。



受注内訳書
 発注先に対しての発注金額を確認したら、次に、その内訳を確認する。

 内訳書の内容は、施工範囲とそれに使用される機械工具の手配及び持ち込み範囲・発生する処分費の負担範囲・申請等手続きの作業範囲・使用される資材が、請負による自社手配であるか、それとも、ビルダーから支給されるかなどを明確に示す。

 内訳書の内容は、金額にかかわる内容はもちろんのこと、発注される工事の内容に対する作業開始日及び作業完了日、機械・工具の使用される日、処分費等の発生日、申請等手続きの発生日、資材の搬入日等の工程情報は、契約される内容として非常に重要な要素であり、それを明確に表現する。

 次に、下請け業者に必要な経費を加算して発注する。



CPM発注の約束

1) 設計段階から工事の施工性を考慮している
2) 施工計画図や各々施工個所のディティールが完備されていることにより、建築現場で職方が納まりを思考する時間は無い。
そのため、単位時間当りの施工量が増す
3) 極力限定された資材を常に使用することによって、職方の慣れによる単位時間当りの施工量が増す
4) 図面による見積依頼は皆無である
5) 材工により発注された資材についても、購入数量を明記することにより積算は不要である
6) CPMによる工程管理は次工程に対して、手戻りが発生しないよう考慮されている
7) 次工程に移行する節目においては、工事監理者が確認を行う
8) CPMによる工程管理は、工種が無理な重複をしないよう考慮されている
9) CPMによる工程管理は、資材の搬入時期を施工の妨げにならないよう考慮されている
10) CPMによる工程管理は、計画どおりの工程によって管理されることを大原則とする
11) 施工精度について、明確に規定する
12) 基本的には、数量と単価による取り決めであり、工事の一式発注ではない
13) 下請け業者に対する経費は必ず確保する

詳細な工程管理をする

 期間を限定して工種分類・建設機械・工具分類・処分費等・申請等手続き・資材搬入分類に関する詳細なデータを表示出力する。
 常に当日を起点として、おおむね1週間先の現場作業の開始・完了日、資材の搬入手配の確認を前もって行う。


工事日報による工程管理



 工事日報の果たす役割は、活動の記録・口頭で行われた指示を明確にしておく・仕様変更依頼のためと追加請求のための記録・問題解決と、調停や法廷で利用するために補完すべきものである。
特にその中で、活動の記録は、工事が完了した後の分析であったり、今後行われる工事計画に役立てるための、重要なデータの役割を果たす。
そのデータを役立てるためには、データとして残す内訳を組織の中で共通認識として整理する。
そして、その内訳に沿ったかたちでデータを作ることが必要である。

 出力された内容を忠実に守って日々の工程管理を行う。

 工事日報には、当日行われる施工の範囲とその作業を行う人員数、それに使用される機械・工具、処分等の発生、申請手続き等の確認、資材の搬入予定とその数量等が、それぞれの発注区分を明確にして表示する。

 工事日報の記録は、口頭で行われた指示を明確にしておく・仕様変更依頼のためと追加請求のための記録・問題解決と、調停や法廷で利用するためなどの記録や、後で作業分析を行うときに判断するためのデータとして、気候・気温・風等のデータを記録する。
特に訪問者は、次に施工に入る予定があったり、施工中である発注先の社長や工事管理者が、工事現場に訪れた時、その訪れた人とその理由を記録する。
その理由によっては、工事管理の手法に何か問題があることになる。
その場合は、今後そのような必要が生じないように改善する。
活動の記録に該当することは予め予定として出力されているため、それを確認し変更が生じた内容について実施工程を訂正する。
そのことによって、記録できるよう配慮する。

 工程が計画されたとおり円滑に行われるように、工事監督者によって管理される内容を指示する。
工事監督者は指示された内容に連動するチェックリストをもとに検査を行い、それを記録として残す。


【工種分類別工程管理】に実績データを入力する

 工事日報によって報告されたデータをもとに、実施された内容にメンテナンスする。
メンテナンスされた内容に従って工程や延べ作業時間が変化するので、その内容に矛盾が無いか確認する。

 実施工程に遅れが生じたり、又、逆に早まった時には、調整日数によって計画された工程に戻す。
計画された工程に、資材の搬入からすべてが関連して予定されているため、それに対して変更が生じた場合にはそのすべての予定を変更することになる。
その変更を受けた業者は、更にそれを発注した業者へと、確実に伝達しなくてはならない。
それが、確実に伝達できないと、職方が工事現場に来なかったり、資材が搬入されなかったりして工程が遅れる。又更に、それを変更するといった悪循環が生じ、取り止めのないことになる。
資材にしてみれば、そのことによる変更作業が発生するわけで、そこで発生した損失は、次にそのビルダーから受注する時には、保険料として加算されるかもしれない。
資材を適正な価格で安価に購入するためには、資材供給業者にムダな負担を掛けないことだ。施工に関しては、施工業者の中で職方の作業をローテーション管理している。
もし、変更によって空きが生じ、それを埋めることができなかった場合、施工業者の負担になる。更に、他に受注した工事を変更できず、必要な数の職方を確保できなくなる。
このようなことにならない為にも、計画された工程は死守する。


工事完了後計画と実績データを比較分析する

 工種分類ごとに施工数量・単位・歩掛り・人員・日数・数量・単位・単価・金額・開始日・完了日について、実績データと計画データの差異を確認する。

工種分類差異



建設機械・工具分類差異



 処分費等差異



 申請等手続き差異



 資材搬入分類差異



工事種目別分析

計画と実績を工事種目別と更に工事、建設機械・工具、申請等手続き、資材に分けて集計し比較する。




歩掛りマスター登録

 実績データから、施工数量のある項目に対して、歩掛りを計算し、その内容が適正かどうかを確認し累積されたデータを歩掛りマスターに登録し更新する。
 ここで作られた歩掛りマスターによって、新規の工事計画を作成する際にワンタッチで歩掛りマスターからデータベースに歩掛りを入力することができる。



TQM(トータルクオリティーマネジメント)

 これまでを要約すると以下のように集約される。

  ・住宅を建設するとき、住宅設計の段階で建設費がかさむようなプランを作成しない。
  ・それは財産としての価値を保続できるものである。
  ・設計段階では、後工程に対して、探る・悩む・問い合わせるといった無駄な作業をさせないために、曖昧な情報によってそれを作成しない。
  ・設計積算を行うことによって住宅建設費を把握すること。
  ・ビルダーは設計積算のデータをもとにして施工積算を作成する。
  ・CPMの手法によってムリ・ムダ・ムラのない工程管理をすることにより、建築コストを削減する。

 しかし、そのためにはまだ足りないものがある。
それは、どのような作業をいつ施工されるかはCPMの手法によってコントロールされるが、その施工するための品質についての基準が明確ではない。
たとえば、基礎工事が完了して建方工事を開始する。完成した基礎が、次工程に引き継いで問題がないか検査をする。
そのとき、基礎天端がプラス方向に最大3ミリ、マイナス方向に最大4ミリの誤差があったとする。
これに対し工事管理者は合格とするのか、或は不合格とした場合は、どの精度に手直しさせるのか、基礎天端の誤差に対しての許容範囲が明確でない。
また、塗装工事でペンキ塗りを行った場合、あるときには、いきなりペンキの刷毛を持って塗ってしまうこともある。
またあるときには、下地のペーパー掛けから初めて8工程も10工程もかけて仕上げることもある。
これらを、どれぐらいの許容誤差であったり、どのような作業工程で施工するかを前もって決めておくことが、検査をするときには必要である。

 施工精度や施工手順によって、それにかかる労務費が違うことがわかる。

 つまり、その施工基準が明確でない場合、積算をすることは不可能である。
施主に対して見積を行うとき、或は契約をするときに、それらの基準が明確にされていなければならない。
ビルダーから下請けに対する発注の際にも、それと同様の施工基準を示すことが必要である。
施工されるその精度は、決められた施工基準とそれに対する施工費用とが等価交換されるものであり、施工費用に相当しない精度を要求することはできない。
この施工基準は、住宅建設工事を円滑に行うためには欠かせない。
もし、施工基準を設けずに施工した場合、工事監理者の検査によって問題が発生し、工事施工者がそれをやり直す。
また、施主によって指摘された場合には、工事管理者が工事施工者に,それをやり直してもらうことになる。
しかし、そのやり直しの度合いによっては、取り壊しから始まり資材を新たに買い求め、再施工することにもなる。
ここに費やされる建築コストはもとより、再施工することによってかかる時間は、後工程をくるわす。
よって、その後工程の建築コストにも影響を与えることになる。

 工事がCPMの計画にのっとって行われ、次工程に引き継がれ施工を開始する時、前工程の施工が完了していなかったとする。
そのとき、工事監理者はその施工を一時中断し、前工程で施工されなかった工事を、前工程の職方或いは、次工程の職方に施工指示する。
それを施工して次工程の施工を再開する。
この場合にも、それに費やされる施工費はもとより、工程のくるいにより損失が発生する。
このようなことがないように、住宅建設工事を円滑に管理する手法がTQM(トータルクオリティーマネジメント)である。

 TQM(トータルクオリティーマネジメント)の技術は、工事計画をもっとも効率的に実現する技術であり、住宅建設業者の利益を最大にするための技術である。
CPMの説明の中にあった、工事監督者の行う検査であったり、確認であるものが、それを行うための作業である。
そこで行われる内容は、それぞれの段階に応じたチェックリストによって明確にされていることが必要である。
工事監督者は、チェックリストに指示された内容に従って、検査や確認を行う。
TQM(トータルクオリティーマネジメント)とは、CM(コンストラクション・マネージメント=建設業経営)として行うべき業務そのものの、品質クオリティーを高めていく業務のことである。



CM(コンストラクションマネージメント=建設業経営)

 以下の図に示されるスパイラル状のものは、現状のムリ・ムダ・ムラを多く抱えて営まれている住宅建設業者のCM(コンストラクション・マネージメント=建設業経営)を象徴的に示した概念図です。、
線の長さはそれに要した労働時間であり、無駄に費やされた建築コストを示す。
住宅建設業者はそのムリ・ムダ・ムラをいかに改善するかによって、直線の矢印が示すようにしていくか、その手段であったり方法について説明してきた。



CM(コンストラクションマネージメント=建設業経営)の全体像




CM(コンストラクションマネージメント=建設業経営)は上の図に示されるように、プラン設計から始まり実施設計と設計積算を経て施工積算が行われる。
それによって見積が施主に届られ受注に至る。
受注に至った施工積算を基にして工事計画が行われ、CPM(クリティカル パス メソッド)やTQM(トータルクオリティーマネジメント)によって施工管理される。
構造材供給業者は、施工積算のデータを基に生産管理によって、生産された構造材が建築現場に届けられ、資材供給業者は、施工積算データを基に資材管理され、CPMによって管理された搬入日に合わせ、資材を供給する。
そのような管理をされながら建築工事が竣工し,売り上げられ請求から回収に至る。
竣工した建築工事は、それに要した実績値の資材費とと労務費を加算することによって、実際原価を求める。
実際原価を分析することによって、そこにある問題点を見つけ改善することによって、次のプロジェクトに対してより経済的で価値のある施工計画を見つける。
それを、住宅設計に生かしたり、より効果的な施工手法に改善することによって、予定原価を見直すことができる。
それはひとつのプロジェクトを行うときに、そこで行われた作業の内容と、その作業に要した時間とその作業員をデータとして記録する。
その他発注された労務費と、その根拠となる内訳をデータとして記録する。
資材はその内訳と金額をデータとして記録する。



企業の成長

プロジェクトのなかで取得されるデータは、その精度が高ければ高いほど、多ければ多いほど、それを使って分析される内容の精度をあげることができる。
そしてその中から、より効果的な改善策を見つけることができる。
収集されたデータはすべてが蓄積され、その蓄積量がある一定のレベルを超した時に、その中から得られる歩掛りであったり、住宅規模を基準においた、
さまざまな係数が精度よく得られることになる。
それらは、工事計画に生かすことのみならず、営業が施主に対して行う住宅建築費予算計画で有効に活用される。
こういったことを常に継続することが、下の図でイメージするように企業は大きく成長する。





企業間のネットワーク

下の図に示されるそれぞれの立方体は、業務の量を表し、その業務が重複している現状を表す。
 これと比較し、共通の認識を持ったデータを、ネットワークの中で運用できる、共通のコンピュータソフトを使用した場合、最初に発信した人のデータは次に受診した人に受け継がれ、受診した人はそこに自己のデータを足す。
更に、そのデータを発信するとその次に受診した人はそれに自己のデータを足し、又更に、発信する。
発信されて受信されたデータはデータが足されながら次工程に発信されるだけでなく、発信者に対しても必要となるデータを足して返信されることにもなる。
ネットワークに属した人たちの業務は、すべてがラップすることなく共有されることになる。




共通の認識を持たないデータでそれぞれに行ったケース
 ラップした部分はそれぞれの企業に共通したデータを転記する作業を示す。




共通の認識を持ったデータをネットワークの中で運用したケース





 営業接客から始まり、竣工引渡しにいたるまでに、施主の名前と建設地だけをとっても、鼠算のように展開する建設業の情報網の中で、いったい何人によって何回、入力したり、筆記されるか。
それにかかる累積された労務費は、いったいいくらになるか。当然それも、建築コストの一部である。


PPPN (Panel Plant Partners Network)



 上の図は、PPPN(パネル プラント パートナーズ ネットワーク)といって、2Χ4構造部材の供給を、企業間のネットワークによって構成したシステムを示す。

ユーザーA
 資材営業組織を有しランバー及び構造用合板を在庫し、月産100棟を超す能力のカットラインと、月産30棟を超す壁パネル組立てラインと、月産100棟を超す能力のトラスラインを有したネットワークの母体となる工場を示す。

ユーザーB
 資材営業組織と小規模なカットラインと、月産30棟を超す壁パネル組立てラインと、30棟を超さない程度のトラスラインを有する。又は、トラスラインを有さない工場を示す。
それは、主に建材業を営んでいる企業が、事業拡張されたケースがよくある。

ユーザーC
 住宅営業組織と月産30棟に満たない壁パネル組立てラインと、建築施工組織を持ち、自社で行う建築工事のパネルのみを組立て、他社に対しての販売をしない。
いわゆるビルダーが、下小屋的な工場を有しているものを示す。設計組織は有ったり無かったりする。

ユーザーD
 住宅営業組織と建築施工組織を持ち、設計組織は有ったり無かったりした、いわゆるビルダーを示す。

ユーザーE
 設計組織を持った設計事務所を示す。

 2×4の構造材を効率よく生産することを考慮した工場の設備の中で、カットラインは多種多様のカットをこなすために大掛かりなものとなる。
このような工場設備を有した場合、おおよそ月産60棟を超す出荷が無いと、そのラインはフル稼働できず生産効率を落とすことになる。
又、ディメンションランバーは断面にして104・204・206・208・210・212・404が有り、長さは10・12・14・16・18・20フィートを基本とする。
204材には通常スタッドと呼ばれる2336ミリ、404材については3m・4m更には2730ミリ・3640ミリといったものも有る。更に、これらに樹種や加圧注入したものを絡めると、その種類は膨大なものになる。
それを、バンドル単位で仕入れるが、常にそれらがムラ無く使用されるわけではなく、めったに使われないランバー材も在庫しなければならない。
構造用合板についてもさまざまな種類があり、それらについてもバンドル単位で仕入れ在庫する。
そして、これらを在庫管理するためには、その方法によっても異なるが、相当の規模の倉庫とそれにかかわる作業員が必要になる。
小規模に営む2×4の構造材の生産工場ではこれらの設備や資材を有することは、非常に高いリスクを背負うことになる。
しかし反面では、壁パネルやトラスのような組立てラインから出荷される製品は、組立てることによってそのかさが増し、建築現場に搬送するための運搬コストが増すことになる。
よって、2×4の構造材を生産する工場の望まれるスタイルは、資材の仕入れからそのカットに至るまでは、大規模な工場で高効率に生産し、それを、より建築現場に近い工場に搬送しそこで組立てられて、建築現場に搬入されることである。
PPPN(パネル プラント パートナーズ ネットワーク)はそれらを実現することを目的として組織する。

 すべてのユーザーには共通の各種生産情報作成ソフトが配備され、共通のデータを作る。
そこで作られたデータは必要であるユーザーに必要なデータのみを、NTTのISDN回線を利用して瞬時に配信することができる。

ユーザーA
 作成されたデータを持って自社工場でプレカットし、組立て指示書に関するデータは自社工場で組立てる。
或は、より建築現場に近いユーザーBに、組立て指示書のデータとその納品リストを配信して、組立てを依頼することもできる。

ユーザーB
 作成されたデータから、プレカットに関するデータとランバー材の定尺出荷データ等をユーザーAに配信し、届けられたプレカット材をもって自社工場で組み立てる。

ユーザーC
 作成されたデータから、プレカットに関するデータとランバー材の定尺出荷データ等をユーザーAに配信し、届けられたプレカット材をもって自社工場で組み立てるが、繁忙期にはユーザーAやユーザーBに組立て指示書のデータを配信し、組立てを依頼することもできる。

ユーザーD
 作成されたデータをユーザーAかユーザーBに配信し、2×4の構造材の出荷を依頼する。

ユーザーE
 構造図を作成する変わりにデータを作成し、そのデータをビルダーに配信する。

 このようにしてネットワークの中で、より効率の高い手段方法によって2×4構造材を供給できることができる。
それによって効率化された人件費等については取引される値段にも反映され、更に、その経済効果をあげることができる。
又、受注にムラが発生する状況の中にある生産工場の、生産能力を考えた場合、繁忙期における生産の増大をネットワークという大きな器の中で処理することができれば、そのためにかかる余分な生産能力を確保しておく必要がなくなる。
これも、大きなメリットである。 
ネットワークによる効果は下の図の@のようにA社・B社・C社がそれぞれに営業する中で、Aに見られるように、お互いに共通する業務が二重三重にも重複している。
これらを、それぞれが分担して共有することによって、重複した部分の業務が軽減する。
Bはそれらの重複した業務を別の組織にアウトソーシングした場合、それらは、量を拡大しその専門の組織によって行われる。
そのことにより更に、効率的に処理されコストが下がる。




 業務を効率化して行うためには、その組織を維持するだけの業務量が必要である。
組織を抱えて採算が取れないような業務は、個々の持った業務をネットワークによって束ね、それを、その量をもって効率よく処理できる組織にアウトソーシングする。
そのことによって、ネットワークに属する全ての企業が、最も得意とする業務のみを分担して行うことができ、確実に利益をあげることが可能となる。


 下に示す図は、ビルダーと資材供給業者と2Χ4構造材供給業者をネットワーク化した情報の流れを表す。
それぞれが、個々に必要とする物件情報を管理し、その中から、他社に必要な情報を放出する。




建築コストを下げる方法




 売価は、仕入原価・労務費・各種消却損料・家賃等とそれに諸経費が加算されたもので成り立っている。 
ところで、諸経費とは何だ? **%なんてことでいいのか? 何%が正しいのか?

ビルダーが下請けに発注する諸経費の内訳

 ビルダーの下請けから出される見積書の内訳の中で、諸経費にあたる部分と、見積り単価に付加された要素を、以下に列記する。

・設計図を受け取りに行く労務費及び旅費
 『見積もりがあるから、図面を取りに来てほしい』と単純にいった一言で、車に乗ってビルダーに行く。
そこで、図面を受け取り、見積り内容についての打合せや、世間話をして帰ってくる。
それだけで、3万円程の経費が発生する。
それが、基礎・足場・大工・内装・外壁屋根・左官・塗装・構造部材・造作資材・…と10社以上に配られただけで、数十万円のコストが発生する。
【対処法】郵便や宅配便による発送か、コンピューターを利用したデータ配信ができる。単価がわかっていれば、その必要もない。

・不明確な情報を整理する労務費
 受け取った図面から、探る・悩む・聞くといった作業によって、見積りに必要な情報を整理する。
【対処法】設計積算が行われていれば、曖昧な情報はない。よってこの作業は発生しない。

・積算・見積りをする労務費
 ビルダーの要求するu・坪単価による見積書を作成する。
【対処法】設計積算が行われていれば、単純に労務員数の確認と単価を入れる作業で完了する。

・見積りを提出する労務費及び旅費
『設計図を受け取りに行く』と同様に、数十万円のコストが発生する。
【対処法】郵便や宅配便による発送か、コンピューターを利用したデータ配信ができる。

・施工図・製作指示を作成する労務費
 ビルダーの要求するu・坪単価による見積書と重複して、実際に施工・製作するために、必要な情報を整理する。
【対処法】設計段階で処理されれば、必要ない。

・資材を購入するための再積算にかかる労務費
 u・坪単位では資材が購入できないため、購入ロットで再積算する。
【対処法】発注内訳どおりに資材は購入できるため、この作業は必要ない。

・現場の偵察にかかる労務費及び旅費
 工事管理者のレベルによって、適切な施工時期の指示に不安がある。
そのため、自己防衛の手段として、時々現場の状況を視察する。
【対処法】適正な工程管理がされれば、必要ない。

・生産量が平準化できないことによる余分な生産体制にかかる経費
 発注から出荷までのリードタイムが短く、出荷時期が集中することによって起こる、生産量の波を吸収するために、工場はその波の最大値に近い生産体制を有する。
そのために、生産量が減少したときの生産コストが高くなる。
【対処法】その付加を発生させないリードタイムで発注する。そうすることによって、生産量の波によって発生する、余分なコストを負担しない。

・資材業者が倉庫に資材をストックする経費
 急な発注や追加材の発生に対処するために、頻繁に受注する資材をストックする。在庫するということは、新商品が出たときに、それが不良在庫になることである。
それらを叩き売れば、新商品が売れなくなるため、多くの場合は、コストをかけて処分する。当然そこにかかるコストも、売価に含まれている。
【対処法】その付加を発生させないリードタイムで発注する。それによって、在庫にかかるコストを負担しない。

・納期や施工時期の変更にかかる労務費や損害保険料
 工程が変更されるたびに、職方ローテーションの組換えや資材搬入時期の変更連絡が必要となる。
【対処法】適正な工程管理がされれば、必要ない。

・工事管理者の管理ミスによって受ける損害保険料
 資材に搬入ミスによる手待ちや、突然の工程変更によって手持ちの職方のローテーションが組めない事もあり、その時には、『応援』と称して職方を外部発注し、余分なコストが発生する。
【対処法】適正な工程管理がされれば、必要ない。

・曖昧な受発注によって受ける損害保険料
 工事の受発注の内容が曖昧なため、工事管理者個々の判断によって施工精度が判断される。
検査によって過度の施工精度を要求されたり、場合によっては、遣り変え工事が発生する。
【対処法】TQMの手法により管理されれば必要ない。

・会議に出席する労務費及び旅費
 定例会議や打合せといった理由で、現場や会社に呼び出される。呼び出すビルダーは1であるが、呼び出される下請けは、多数のビルダーと付き合いがあるため、場合によっては、その専任者を抱えることにもなる。
【対処法】定例的な会議は必要ない。
問題が生じた場合や更にお互いの利益確保を模索するのであれば、それに必要な業者のみ、召集すればよい。
当然、それに発生した経費は、現場のコストであるか、今後の投資であるかの意識付けが大事である。

・売掛金が回収できいときの保険料
 回収先の倒産や支払い時の値引きがある。
【対処法】後付ではない現金取引であれば必要ない。

・工事管理にかかる労務費
 工事管理者を必要とする場合の経費。
【対処法】工事管理者の管理経費は建築コストに明確に表示する。

・事務処理にかかる労務費
 受発注や支払い請求入金管理などの経理業務。
【対処法】コンピューターを使用してデータ交換すれば激減する。

・利益

・更に付加される経費

 30年程前には、設計図を取りに来てくれて、それを見積もってくれる資材業者はいなかった。
いつのころからかわからないが、それをサービスと称してやってくるようになった。
よくあることで、最初はありがとうから最後は当たり前になり、ビルダーは積算作業をしなくなった。
その結果、資材供給業者の組織の中に、積算担当者が必要となり、それは売価に反映された。
何社にも合見積もりをとろうものなら、その中の1社に発注することになるが、受注できなかった業者のその作業は、共通原価の中にプールされることになる。
そのプールされた経費は受注となった物件に上乗せされる。まさに、恩を仇で返すとはこのことだ。

 設計者がビルダーに対して合見積をとった場合、その数の分だけ、先に述べた経費が倍加する。再見積をすれば、更にその回数分倍加する。

 以上の経費が、見積り単価であったり諸経費の中に不明瞭に表現されている。その割合が4割であるといっても過言ではない。

 u・坪単位で見積りをする場合の単価は、建物の形状による要素をうまく反映できない。
そのことによって、やり易かったり、やり難かった施工実績を均すことによって算定される。
このような見積りをした場合、設計段階で考慮された手法は殆ど反映されない。

 建築のコストを下げる方法とは、概算的な見積りから、ただ単に値切ることではない。
それは、設計積算時に建築工事に必要とされる労務費・機械工具損料・申請手続き費・資材費を積み上げた段階ですべてのムリ・ムダ・ムラが排除される。あとは、それに上記の要素が加算されないように、発注者自身が変わることである。

以下にその実践例を示す。

・u・坪単位による数値は一切使用していない。
・資材は積算によって算出された数値から、購入ロットに換算して計算する。
・型枠・足場等の損料は、使用される部材の員数を算出し、その購入価格と耐用年数と使用頻度をもとに算出する。
更に必要な場合は、使用される日数を加味する。
・労務費に関するデータは、本来、職方一人一人の能力によって決定するが、ここで示す例はその要素をもたせていない。
そのため、かなり甘い結果になっている。

 同一の設計図から、一般と称するコストは、u・坪単価による手法で算出されたものである。
それと、実践例を比較したものが下の表である。この実践例によって、建築コストは30パーセント削減されたことがわかる。















 以上、どこにムリ・ムダ・ムラがあって、それを、どのような手法で排除するか解説してきた。
それを更に、ネットワーク化することによって、より省力化できる。
しかし、それを実現するためには、自分自身のあらゆる作業のコストはもとより、取引相手の作業コストを知ることが絶対条件である。