以下に示す『家は夫婦の巣』『家のデザイン』『住空間を考える』『住空間実体験』『設計の基本』『建築の無駄』『CPM/TQM/CM』に述べることは、現状一般的に行われている間取り優先の住宅設計と奇抜さを狙った住宅デザインといった固定概念に縛られた住宅づくりにどれだけのリスクがあるかを、詳細に解析し説明します。
 更に、住宅建築業界の現状と、その問題点と解決策を説明します。


施工:ウッドホーム・伊藤源・DAC・光栄電気工事
支援組織:野村隆哉研究所・住宅生産性研究会・ウッドミック

環境負荷の低減と低価格・快適性を追及するネットワークです。
●野村隆哉研究所 野村隆哉
 京都大学で完成させた木材の燻煙乾燥の創始者(京都大学木質科学研究所・木質バイオマス研究部門・物性制御分野)
 http://www.wood.co.jp/kinokokoro/no13/kinen2.htm
●一色建築設計事務所 成瀬大治(故)
 住宅造りの概念を完成した「住まいを考える会主宰」・住宅生産研究会理事・財団法人京都伝統建築技術協会評議員・古材バンクの会理事
 木造建築(木は人に優しく再生可能)。アフォーダブル(入手可能な価格)かつフレキシブル(ライフスタイルに併せリモデリングが可能)でデザイン、性能、機能の確かな住宅の建設
●名古屋建築事務所 崎元隆一
 木質構造計算を得意とする建築構造計算事務所(名古屋大学工学部 木質構造研究会)
 http://www.dali.nuac.nagoya-u.ac.jp/furukawa/other/mokuken.html
●住宅生産性研究会 戸谷英世
 住宅産業、住宅政策、住宅及び住宅地経営及び住宅関連技術の分析と対応策の検討立案
 http://www.hicpm.com/
●ウッドミック 高島太加夫
 木材工業と木材加工機械及び関連資材のインフォメーション、月刊誌ウッドミックの発行
 http://www.woodmic.com/

  お気軽にご相談ください。
 ビッグウエイ 山足 E-mail:bigway1126@yahoo.co.jp

住宅について考えてみましょう
 玄関を入って靴を脱ぐ習慣は最近のものです。
 戦前の庶民の住宅は土間で殆どをすごしました。
 仕事が終わってやっと履物を脱いで板の間に上がりました。
 つい最近まで、日本住宅も土足文化でした。
 家の中は、間仕切りは殆どなく構造柱を基準に障子と襖で仕切られていました。
 天井は構造の表し、内壁は仕上げられず、土壁のままでした。
 畳の間に入って初めて天井と壁が化粧されました。
 時には、床の間や書院が造られ家を飾る事が演出されました。
 人の、暑さを感じる条件に気温もありますが、湿度が大きな影響を持っています。
 土壁は屋内の湿度を調整するばかりでなく、気化熱によって屋内の温度を下げます。
 外の雨戸とうち障子の間に縁を設け、大きな断熱層としています。
 (今の断熱材も空気の対流を止める事が目的で、断熱効果は空気によるものです)
 このように、家の機能も進化してきました。
 大きな住空間を確保し、その中を自由にレイアウトし、家を修復しながら何代も住み続けることができました。
 外観デザインも洗練されながら進化を続け、美しいものでした。
 保存された古い街並みを見て、それが陳腐化しない美しいものであることはお分かりでしょう。
 日本住宅も、世界のどの文化にも負けず素晴らしい進化を遂げてきました。

現代の日本の住宅を考えてみましょう
 戦後の復興と共に、住宅造りは一斉に始まりました。
 公団・公社の集合住宅や、プレハブ住宅が始まったのもこのころです。
 住宅メーカーが現れ、それまでにあった村の大工さんに頼む形態が変わってきました。
 住宅都市整備公団が発明した「○LDK」という言葉がはやるようになりました。
 プレハブメーカーは規格住宅に特化しました。
 追随するハウスメーカーもホームプラン集を作って対抗しました。
 このころから、間取り優先の設計思想が生まれてきたと考えます。
 それが、時代の経過と共にホームプランの固定概念として固まってしまいました。
 間取りを優先すると、間取りに対する開口が配置されます。
 当然、外観デザインは無視され、バランスを崩した住宅になります。
 建築基準法によって、土壁の持つ機能は封印されました。
 自然と、大壁構造になり、土壁も断熱材に変わりました。
 内壁の仕上げが必要となり、プリント合板の普及によって一気に広まりました。
 クロス壁の普及によって、壁・天井へと内壁を仕上げることが容易になり、その事が常識となりました。
 大工さんに家を造ってもらう事は殆どなくなり、大小の住宅メーカに家を注文します。
 世代交代した住宅メーカーの技術者は、固定概念化した住宅造りを常識と判断しています。
 もちろん、過去の日本住宅の進化を継承していません。
 ベースを持たない技術者が、過去に淘汰されたであろう過ちを、気が付きもせず繰り返しています。
 家を建ててもらう側も同じ固定概念を持ち、何ら疑問を感じていません。

今後の日本の住宅を考えてみましょう
 建築基準法の枠内で、いかに過去の日本住宅の進化に上積みするかが課題です。
 基礎によって、滑らせる免震構造は使用できません。
 防火規制によって、土壁の持つ機能は生かせません。
 大きな住空間を確保し、その中を自由にレイアウトすることは継承できます。
 外観デザインも継承できます。
 土間の文化は、継承できますがその必要があるか検討が必要です。
 継承できなかった機能にどう対処するかも課題です。
 
今だからこそやれること
 昔の建築は、絵図板1枚で行っていました。
 詳細な納まりは大工の技能として継承されました。
 あるとき、複写の技術が発明され設計図という手法で情報を伝達できるようになりました。
 現代は、家を造る作業が細分化され、その殆どが工場のライン生産にまで至っています。
 工場の生産は設計図ではできませんから、コンピュータに生産情報を変換します。
 設計図が発明された当初は画期的な情報伝達手段の革命でした。
 情報の伝達手段がコンピュータに代わってきた現代に、その必要性は薄れてきています。
 現代に合った新しい伝達手段の手法を確立し、日本の建築の進化に上積みすべき時です。