建築業務は無駄ばかり

 住宅を建設するための業務は以下のように分類される。
従来、抱え込みの中で行われてきた建設業経営の中では、それらの一つ一つの業務を十分にこなす専任者を設けることができなかった。
その結果、複数の業務を兼任することによって中途半端に作業してきたことが、結果として多くのムリ・ムダ・ムラを生み、多くの人件費を費やすことになる。
たとえば、設計段階において詳細な納まりを明確に指示されなかった場合には、積算・見積をする際には悩んだ末に適当に処理される。
そして、それが施工に至ったときに曖昧にすることができず、本来作業をするはずの職人が設計図書を眺めながら考え込んでしまう。
更にその結論が出せないときには、工事監督者に相談する。
しかし、工事監督者が現場にいればまだしも、現場にいなかった場合には、すぐに現場に行くか、職人に手待ちしてもらうことになる。
前段階で処理する時間と比較し、それを後段階で処理した場合には、数倍から数十倍の時間と労力がかかることになる。
 そのためにも、それぞれの業務はそれなりの力量を持った専任者によって、確実にこなされることが大事である。

 その業務の内容を、現状多く見られる問題点と比較して以下に示す。

営業
 営業として果たす役割は、住宅を建築しようとする施主との接点であり、プラン設計したり見積をすることではない。
営業マンを釣り人にたとえて考えてみる。
ある日釣り人が磯で大きな鯛を釣った。
とても立派な鯛なので、活け造りにして食べたいとした場合、大急ぎで料理ができる料理人さんの所へ持っていく。
そして、料理をしてもらっておいしく食べることができる。
ところが、料理に自信が無いのに、釣り人が自分で活け造りを作ろうとしたら、いじりまわしているうちにだんだん鮮度が落ちて、とても刺身で食べることができなくなる。
仕方が無いので焼くか煮るかして食べることにする。ところが、それすらも料理できない釣り人は、立派な鯛を腐らして捨てることになる。
 たとえ話にあるような事は、日常営業する中にもあるのではないか。
営業の果たす役割をよく理解した場合、営業として機能する人たちは自分の周りに、もっと一杯いることに気がつくはずだ。
その人たちが釣ってくる魚を料理してくれる以下のスタッフを作ることが大事だ。

【問題点】営業の役割として、できもしないのにプラン設計したり、概算レベルの見積を提示する。
最初に方向を間違えたものは、後になっての修復は不可能に近い。

プラン設計
 住宅を建築しようとする施主に対して、その人、その家族の人生の中で必要とされる住空間が、人生プランの中で無理なく満足できるものを取得でき、それが、財産としての価値を永く保続できるようアドバイスする。

【問題点】素人の考えた平面プランをもとにして、それに、構造計画をなぶりつけることが、プロとしての設計であることのように錯覚している。
さらに、意匠プランにおいて奇抜なデザインをすることによって、施主の受けを狙っている。
結果、建設費は高くなり、数年後には嫌気の指すデザインが多く作られ、財産としての価値はない。

意匠図
 プラン設計されたものを設計図書として仕上げる。
 付近見取図・配置図・平面図・立面図・断面図・矩計図・仕上表・展開図・天井伏図・屋根伏図・建具表・家具一 覧表・照明器具一覧表・衛生器具一覧表・部品工作図

【問題点】図面表記が曖昧すぎて、本来あるべき、資材と労務費を積み上げて行う積算は不可能である。
何ができるかわからないものに、契約をすることが理解できない。
 本来、施主のために無駄なコストがかからないようプランすることが、プロとして報酬を受け取れるはずのものが、総工費からの割合で報酬を計算することも多々ある。
報酬を下げてまで、親身になれるとは考えない。

確認申請
申請手続きをする。

構造図
 プラン設計によって設計された構造を、施工指示書として仕上げる。
 基礎伏図・床伏図・天井伏図・小屋伏図・縦枠図

【問題点】構造の知識不足のためあいまいな表現が多い。
図面をかくことが目的のような図面が多く見られ、施工者に意思伝達する意識を感じない。
  情報が煩雑すぎて、探ったり確認するのに時間がかかる。
  極端に言えば、以下に示す情報で2Χ4の壁は作成できる。



設備図
 施工指示書としての設備図を仕上げる。
 シンボルマークだけではなく、構造を十分に考慮し配管・配線系統をしっかり指示する。
 電気設備図・給排水衛生設備図・HAVC設備図・ガス設備図

【問題点】シンボルマークだけで、配管・配線系統を指示していないため、施工者が現場に来てから考える。挙句の果てに、構造を壊されることもある。

施工図
 意匠図・構造図・設備図で曖昧な部分を詳細に指示する。
 施工計画図・各種ディティール・各種加工図

【問題点】一般的な2Χ4住宅では殆ど作成されない。施工者任せにすることによって、何ができるかわからない。
  施工者の出す見積は、質疑応答や考える時間、手待ちになることを考慮した保険が入っているので高い。

設計積算
 設計図書を基に積算する。

【問題点】設計による積算は皆無である。そのことによって、変更見積を何度も繰り返すことになる。
当然その労務費は、建設コストに跳ね返る。

工事計画
 設計積算を基に施工積算を作る。
 施工積算を基にスケジューリングする。
 工事予算を確定し発注する。

【問題点】無計画に発注することによって、トラブルが多く発生する。

施工
 工事計画にのっとり施工する。
 工事中に各種のデータを取得する。
  施工に要した人工数と施工された内容と数量
  施工環境(気温・天候・風及び運搬経路の問題)
  工事現場に搬入された資材の数量
  工事現場から搬出された資材の数量
  施工に関係無く工事現場に訪れた工事関係者
  打合せ・会議を行った理由とそれに要した人数と時間

【問題点】造ることに専念して、ムリ・ムダ・ムラを省き利益を追求する作業をしていない。

TQM(トータル・クオリティー・マネージメント)
 次工程に引き継ぐための完了検査をする。
 施工品質基準にのっとった品質検査をする。
 支払い査定となる出来高検査をする。

【問題点】ただ造るためだけの検査をしている。

原価管理
 実際に支払われた工事原価と計画時の原価の差異を確認し、その原因を究明する。
 その原因が、今後工事計画をする際に歩掛り等を更新する必要があるか判断し、データとして保存する。

【問題点】次に利益をあげるための努力を惜しんでいる。

 ここで示された業務を確実に行うことは非常に高度なことであり、これを実行するにはかなりの力量が必要である。
そのために、住宅を建設するために必要な業務の中で、プラン設計・付近見取図・配置図を除く意匠図・構造図或はそれに変わるデータ・設備図・施工図・設計積算データをセットし、そのデータを運用するコンピュータソフトを開発した。
 コンピュータソフトの開発にあたり、そのソフトが提供するデータは、ネットワークによる効果を最大に発揮するための共通言語となることを目的とする。
そしてそれを、より多くの組織の誰もが運用するするために、基本的な入力作業は10キーとマウスのみで簡単に操作できる。
その結果、熟練したオペレーターを必要としないよう考慮して開発した。
 コンピュータソフトに乗せ活用した場合の効果を、労務時間と、それを金額に換算した結果を次に示す。

どこにムリ・ムダ・ムラがあるか
 まずは、どこにムリ・ムダ・ムラがあるか。
、それは、どれくらいの量なのか。それを探り、それに対しどのような対処が考えられるか考察する。

 (図-01)に示される表は、45坪程度の住宅において、2×4構造材を出荷するまでにかかる、各種作業の労務時間を時間単位で表す。
ここに示される未使用とある部分は、従来から行われている手法によって作業された場合の作業時間を、大まかに分類して計算した。
これと比較して、コンピュータソフトを生産工場に導入した場合、更に、ビルダーに導入した場合、設計事務所に導入した場合を比較する。
更に、その環境下に規格化されたプランを使用したことによって行われる作業時間を比較する。
実際に行われる作業は更に細分化されるが、ここでは、この程度の分類でシュミレーションする。





1)営業による初回接客から始まり、プランの打合せが開始され、プラン設計が完成する。

 【規格プラン】プランはすでに完成されているため、趣旨を説明し理解してもらう。

2)プラン設計の完了をもって見積書を作成し契約する。
  ・場合によっては、詳細な内容が確定せず、契約をしないまま設計作業が開始することがある。
  ・契約をしないまま設計作業が進む中でキャンセルされるリスクがある。

 【規格プラン】プランにセットされた設計積算によって、大まかな建築費が確認でき予算に合わせた調整をする。

3)基本図が作成され、採光・壁量等が計算され確認申請が提出される。
  ・場合によっては、詳細な内容が確定せず、何度も設計変更をすることもあり、その場合は、更に作業時間を費やされることになる。

 【規格プラン】付近見取図・配置図及び採光チェックをし確認申請を提出する。

4)構造図であったり設備計画図等を完成し工事着工の準備に入る。

 【規格プラン】プランにセットされるため、作業は必要ない。

5)ビルダーは、完成された設計図書を基に見積書を作成し、契約或は追加契約する。
  ・積算するために、設計図書を構造部材を供給する工場に渡し、積算を依頼する。
  ・質疑された内容によっては、設計まで戻り回答を得る。
  ・契約が行われている場合には、追加契約によって調整され、未契約の場合は、契約をするが、建築予算額に差異が生じた場合、再度基本設計に戻り、再見積を作成し調整の後に契約となる。

 【規格プラン】プランにセットされた設計積算に対して、職方の力量及び資材の購入費をメンテナンスし施工積算として完成する。
  施工積算を基に、経費を加算し見積書を作成提出し契約に至る。

6)構造部材を供給する工場が見積書を作成する。
  ・一般的には、坪やu単価を用いた、簡易積算による見積が多く見受けらる。
  ・又一方では、設計図書を受け取った構造部材を供給する工場は、内容を確認し、不明解な事柄を質疑しながら見積書を完成し、ビルダーに届ける。
  ・中には、設計の力量不足により、基本図のみで見積を依頼されることも多々あり、構造部材を供給する工場が構造計画を行うことになる。
その場合には、ビルダーを間にはさみ、質疑応答が何度となく繰り返され、その間に費やされる時間は相当なものとなる。
  ・殆どの場合、すでに確認申請は提出されいる。構造をプランする際に少しの変更で補強部材を多く使用しないで済むことが考えらる。
しかし、ひどい場合には、まったく構造が成り立たないケースもある。その場合、
   構造部材を供給する工場では責任を持った対処ができず、差し戻されることもある。

プランにセットされた設計積算に対して、構造部材を供給する工場の積算単価を掛け合わせることによって見積は完成する。

 【コンピュータソフト】見積作成ソフトによって瞬時に出力される。
  最終的に受注に至ったデータは、受注内訳データとして生産ラインに引き継がれる。


7)生産指示書を作成する。
  ・構造図や構造プランを基に、生産に必要なデータに変換する。
  ・アセンブル・テーパーカット・1次元カット・2次元カット・3次元カット・サブコン・組立ての段階ごとに指示書を発行する。
  ・ちなみに、壁を工場でパネル化する為には、一般的な45坪程度の住宅でおおよそ100枚のパネル組立指示書が必要となる。
 【規格プラン】プランにセットされた設計積算の構造部材リストを持って加工する。
 【コンピュータソフト】ワンタッチ操作で、アセンブル・テーパーカット・1次元カット・2次元カット・3次元カット・サブコン・組立て指示書とそれに伴う納品書が発行される。
  生産指示書を作る作業は、それが行われる方法手段によって大差がある。

8)工場で生産する。
  ・指示書に従って生産します
  ・場合によっては、構造図を生産ラインに持ち込んで、その図面を基に生産される工場もある。

 【コンピュータソフト】生産指示書の指示方法に工夫がされており、生産効率を上げることができる。

9)資材管理
  ・ディメンションランバーの仕入及び入出庫を管理する。
  ・構造用金物・構造用釘の仕入及び入出庫を管理する。
  ・その他副資材のの仕入及び入出庫又は現場直送の発注を管理する。
  ・在庫管理及び原価管理する。

 【コンピュータソフト】資材管理システムによって管理する。

10)出荷売上
  ・建築工事現場の状況を確認し、必要とされる部材を必要とされる時間に出荷できるよう管理する。
  ・出荷された結果を持って売上とする。

 【コンピュータソフト】物件管理システムによって、営業時から出荷売上に至るまですべての作業及び工程が管理され、出荷に必要とされるデータはDC管理システムに引き継がれ、配車処理によって出荷が管理される。
出荷された実績データは、もとの物件管理システムに返され、運賃を加算した売上データを完成する。

11)原価管理
  ・工場の生産原価を管理する。

 【コンピュータソフト】売上データの中に、原価データを保存する。


構造部材を供給する工場の出荷に至る情報と生産ルート

 パネル化やトラス化は製品の嵩大化、長大化を引き起こし、出荷配送面での大きな障害となる。
これらの生産工程は工業的に見れば組立工程であり、組立に必要な部資材および製作情報が工程作業時間までに過不足無しに届けられていることで生産条件が整う。
組立工程の効率的な運用のためには工程内でのカットやまぐさ、合せ柱の生産等の前工程作業を排除することが必要である。
この事により余分な在庫や仕掛品を持たずに、また加工廃材を最小限に抑え組立作業に専念することが可能となる。
  一方、組立工程にとっての前工程であるカット、サブコンボーネント(まぐさ、合せ柱)生産工程は物件毎部位別生産と標準品ロット生産との組合せ如何が生産効率化を大きく左右する。
これらの工程では設備能力以上に製品の投入や積取搬出といった搬送方法や設備毎の生産順位決定、生産に伴う廃材処理等が重要となる。
(図-02)に示されるように、工場生産するためには生産に必要な情報作成し、工程ごと更には加工種別に生産指示書にして発行し管理される。





コンピュータソフトの導入による効果





 コンピュータを活用することとは、与えられたデータを基にして、条件設定されたデータのみを抽出すること。
それを計算すること。抽出されたデータを並び替えることである。この機能をうまく活用することができるように作られたものがコンピュータソフトである。
 コンピュータソフトを使用することによって得られる効果は、必要とされる最小限の情報を入力することである。
そして、その情報が蓄積されたものをデータベースと呼ぶ。
(図-03)にある【構造情報化】がその作業に当り、それによって以降の業務は、コンピュータを使用しないで行われていた手法と比較しその作業をコンピュータが引き継いで行うことによって、0に近い作業時間でおこなわれるようになる。
 【構造情報化】をビルダーでおこなった場合、情報化に必要な作業時間は変わらないが、図面を渡すことから始まり、その質疑応答に要した時間が無くなる。
又、取引される価格は当然のことながら下がるはずである。
更に、【構造情報化】を設計がおこなった場合、生産情報が設計によって作られることにより、情報として置き換えられたものに該当する構造図は不要となる。
設計から発信される情報は、構造部材を供給する工場の生産ラインに直結し、設計者の意図どおりのものが忠実に生産される。
構造図の果たす役割は、設計者の意図するものを施工するための指示書である。
ところが現状多く見受けられる構造図は、表記された内容が曖昧なものが多く見受けられる。
そして、それを正すために費やされる時間は多大であり、設計者がコンピュータによって【構造情報化】することによって、それに費やされる時間が無くなり、大きな効果をあげることができる。

構造部材を供給する工場を管理するシステム

生産情報を作成し、その情報を基に見積書が発行され受注に至る。受注されたデータは生産されるためのデータに変換される。
物件管理ソフトによって、受注物件の基本的な情報と業務の進捗状況及び工程に関する情報が管理され、出荷の順位に合わせて資材への投入及び資材発注の指示や、製造ラインに生産指示される。出荷の情報はネットワークによってデリバリー管理ソフトで配車と玉掛けが管理される。
更に、クレーン配車ソフトによって建て方作業に使われるクレーン車が配車される。
 出荷され売上となった物件は、デリバリー管理ソフトから運搬費と玉掛け費が、クレーン配車ソフトからクレーン車の作業費が情報として物件管理ソフトに統合される。
それらを、納品されたデータと更に統合し売上原価が計算される。
又、その一方ではそれぞれの作業工程で費やされた作業時間を、契約物件ごとに、分単位で測定したものをデーター化し、投入された原材料と合わせて契約別件ごとの直接原価を算出し、予定原価に対する実際原価を比較し標準単価の見直しをする。
 売上データは蓄積され、一定の時期にくくられて工場生産品を詳細な分類で分析し、生産される頻度に応じた適切な生産方法を検討し生産の効率化を計る。









構造部材供給に至る作業時間の分析

 現状を分析し、それにかかる作業時間と対策を講じたときに得られる効果を、計算しグラフ化した結果が(図-05)に示す。
住宅総工費を1500万円、1人工を2万円と仮定し、それぞれの段階での時間効果とそれを金額に置き換えた結果を表し、住宅総工費に対する割合を計算する。
 対策を施さない状態から比較し、コンピュータソフトを導入した環境に、【規格プラン】を使用して得られる効果は、作業時間にして12,990分、金額にして541,250円が削減される。
通常住宅総工費に対する構造材に占める割合は10%強であることから、構造材費を150万円とするとその1/3が削減できることになる。





建材供給に至る作業時間の分析

(図-06)に示される表は、45坪程度の住宅において、建材を出荷するまでにかかる、各種作業の労務時間を時間単位で表す。
ここに示される未使用とある部分は、従来から行われている手法によって作業された場合の作業時間を、大まかに分類して計算したものである。
これと比較して、コンピュータソフトを建材を供給する業者に導入した場合、更に、ビルダーに導入した場合を比較し、更に、その環境下に【規格プラン】を使用したことによって行われる作業時間を比較する。
実際に行われる作業は更に細分化されるが、ここでは、この程度の分類で【規格プラン】と比較しながらシュミレーションしてみる。





1)営業による初回接客から始まり、プランの打合せが開始され、プラン設計が完成する。

 【規格プラン】プランはすでに完成されているため、趣旨を説明し理解してもらう。

2)プラン設計の完了をもって見積書を作成し契約する。
  ・場合によっては、詳細な内容が確定せず、契約をしないまま設計作業が開始することがある。
  ・契約をしないまま設計作業が進む中でキャンセルされるリスクがある。

 【規格プラン】プランにセットされた設計積算によって、大まかな建築費が確認でき予算に合わせた調整をする。

3)基本図が作成され、採光・壁量等が計算され確認申請が提出される。
  ・場合によっては、詳細な内容が確定せず、何度も設計変更をすることもあり、その場合は、更に作業時間を費やされることになる。

 【規格プラン】付近見取図・配置図及び採光チェックをし確認申請を提出する。

4)ビルダーは完成された設計図書を基に見積書を作成し、契約或は追加契約をする。
  ・積算するために、設計図書を構造部材を供給する工場に渡し、積算を依頼する。
  ・質疑された内容によっては、設計まで戻り回答を得る。
  ・契約が行われている場合には、追加契約によって調整され、未契約の場合は、契約をするが、建築予算額に差異が生じた場合、再度基本設計に戻り、再見積を作成し調整の後に契約となる。

 【規格プラン】プランにセットされた設計積算に対して、職方の力量及び資材の購入費をメンテナンスし施工積算として完成する。
  施工積算を基に、経費を加算し見積書を作成提出し契約に至る。

5)建材を供給する業者が見積書を作成する。
  ・設計図書を受け取った建材を供給する業者は、内容を確認し、不明解な事柄を質疑しながら見積書を完成し、ビルダーに届ける。
  ・予算と仕様の折り合いがつかない場合は、何度も同じ作業を繰り返すことになる。

 【規格プラン】プランにセットされた設計積算に対して、構造部材を供給する工場の積算単価を掛け合わせることによって見積は完成する。

 【コンピュータソフト】見積管理ソフトによって見積が出力される。
  最終的に受注に至ると、受注内訳データとして資材管理に引き継がれる。

6)資材を発注する
  ・受注されたら、在庫を確認し必要な資材を発注する。
  ・場合によっては、見積書ではu単価による積算がされた物件を、割付やロスを見込んでもう一度違う形態の積算をし、発注することになる。

 【規格プラン】プランにセットされた設計積算から、必要とされる資材を発注できる形態でビルダーから発注されるので、それに従って発注する。

 【コンピュータソフト】プランにセットされた設計積算データを、受注データとしてシステムに取り込み、コンピュータの処理で在庫確認をし、必要であれば発注する。

7)在庫管理
  ・発注した建材を入荷し管理する。

 【コンピュータソフト】資材管理システムによって在庫管理する。

8)出荷売上
  ・出荷時期を確認し出荷し売り上げる。

 【コンピュータソフト】資材管理システムによって出荷・売上管理する。

9)原価管理
  ・売り上げた契約物件ごとに原価を計算する。

 【コンピュータソフト】資材管理システムによって出荷・売上処理された物件はコンピュータによって計算され結果を出力できる。

コンピュータソフトの導入による効果





 コンピュータソフトを使用することによって得られる効果は、必要とされる最小限の情報を入力すること。
そして、その情報が蓄積されたものをデータベースと呼ぶ。
《図ー08》にある【情報化】がその作業に当り、それによって以降の業務は、コンピュータを使用しないで行われていた手法と比較しその作業をコンピュータが引き継いで行うことによって、0に近い作業時間でおこなわれるようになる。
 【情報化】をビルダーでおこなった場合、情報化に必要な作業時間は変わらないが、図面を渡すことから始まり、
その質疑応答に要した時間が無くなり、又、取引される価格は当然のことながら下がるはずである。
 更に、【情報化】を設計がおこなった場合、生産情報が設計によって作られる。
そのことにより、、設計から発信される情報は、建材を供給する業者に直結する。
それによって、情報の伝達として行われていた設計図書の授受、それに関する質疑応答、更にはその積算見積、それの授受といった作業が皆無となり、それによって削減される作業時間は多大である。

建材を供給する業者を管理するシステム

 基本となる物件情報の登録から始まる。
それに関連して見積書の作成、受注に至った物件の受注データの登録をする。
受注されたデータは出荷されるために在庫の確認、在庫の無いものは発注し入荷したものが在庫管理される。
次に、建築工事現場の状況を確認し、必要とされる部材を必要とされる時間に出荷できるよう管理する。そして、出荷された結果を持って売上とする。
 受注されたデータは、品目ごとに出荷日を管理される。
すでに在庫されている品目については出庫指示の処理をする。在庫の無い品目は発注処理する。
発注された品目はいったん入庫して在庫管理された後に出庫指示されるものと、建築現場或はビルダーに直送されるものとに別れ、出荷或は直送の確認をもって売上処理する。
 特に建材に関する管理の中で、出荷日の変更は建材を供給する業者の内部だけでは処理できず、発注先にまで影響し、それを更に品目ごとに処理しなければならず大変な作業となる。









建材供給に至る作業時間の分析

 現状を分析し、それにかかる作業時間と対策を講じたときに得られる効果を、計算しグラフ化した結果を(図-10)に示す。
住宅総工費を1500万円、1人工を2万円と仮定し、それぞれの段階での時間効果とそれを金額に置き換えた結果を表し、住宅総工費に対する割合を計算する。
 対策を施さない状態から比較し、コンピュータソフトを導入した環境に、【規格プラン】を使用して得られる効果は、作業時間にして9,966分、金額にして415,250円が削減さる。
ここでシュミレーションした対象は,外部建具・外壁屋根・ドライウォール・造作建材・衛生設備器具・電気器具・外装部品の7種目で行った。
 実際にはまだまだ多くの種目があり時間測定した項目もかなり大雑把なもので、ここに計算された時間・金額はほんの一部である。





合理化における2Χ4の利点

合理的なプレカット図作成法

 物件別、標準品の生産組合せに加え、如何なるモジュールでの生産体制にあっても問題なく利用でき、しかも誰でも簡単に使える生産情報システムこそが「新たな2×4生産供給シスム」の構築にとって必要である。
 このシステムは、MicrosoftExcelをベースにして、例えば455モジユールにとらわれない条件下での面材サイズによる任意モジュール(枠材間隔)設定により作図が可能であり、三○分程度の説明だけで直ぐに作業可能な、10キーとマウスのみの簡易な入力作業だけで操作できることを基本として開発した。
45坪の標準的な物件についてパネルの生産情報処理をする場合、入力時間が大体120分程度、そして出力時間はたったの15分で可能となる。
 出力されたパネル作成指示事は、墨付け情報、割付部材、合板割付が数直線上に表示され、工場生産の上で必要最低限の情報を明瞭に、ピイジュアル認識できるように工夫されている。
開口部指示書、組立・アッセンブル指示青も同様に作成されるため、このシステムを実際に使用している工場では、昨日入社したばかりのパート作業者が指示表を見ながら今日にはパネル生産作業を行なっているという結果が現われている。
 まさに、この生産情報システムはオールラウンドプレーヤーとしての可能性を充分発揮し、かつ逐次バージョンアップによるシステムフォローも万全で、日夜前進し続けているシステムである。

ソフト入力の一例(壁パネル製作情報作成ソフト)





発行される指示書
 ・基本的に1作業種に対して、指示書は1枚発行され、その中に指示された情報は1つである。
そのことによって情報を探すためにめくる作業をさせない。更に、情報を確認する作業をさせない。
 ・発行される用紙はすべてA4サイズである。
そして、表記される文字は、薄暗い場所や老人であっても認識できるよう、極力大きな文字で表示する。
 ・作業に必要な寸法はすべて指示され、計算が必要なものも完了している。
 ・文字による指示を極力避け、視覚的な表現によって瞬時に情報が伝わるよう工夫している。
 ・現状の設計図書にある壁芯からの情報は一切表現しない。すべての寸法情報は、端部にメジャーを引っかける作業によってできるよう指示している。
 ・作業現場において、どうしようか考えたり、計算する作業をすべて排除する。そのことによって、作業効率が大幅に上がることを目的とする。
 ・指示通り間違いのない施工がされた場合、100回施工しても100同じ物ができるよう指示する。

2Χ4構造材供給工場に出力される見積書・カット指示書・サブコン指示書・納品書

 工場及び生産工程に対応した指示書の出力をする。
 さらに、指示書のなかに、工場の製造原価を算定するためのデータも表示される。



2Χ4構造材供給工場に出力される壁パネル組立指示書

開口組立指示書
開口作図画面の情報をもとに組立指示図及び使用部材一覧を表示する。
 組立て指示図の寸法表記は、マグサ及び窓台の端部よりの追出し寸法として表記する。
このような寸法表記により各部材端部にメジャーを引っかけるだけで上下縦枠の墨出し作業ができ、マグサまたは窓台のカット寸法が確認できる。



壁パネル組立指示書
 墨付け寸法指示の内容は、各部材を記号表記し、優先される追出し寸法 (配置する部材の左または右の位置情報) を上下縦枠部材へ、左端部からの追出し寸法として表記する。
パネルライン作業者は、墨付け寸法指示に従いアセンブルされた材料を配置しパネルを製作する。
組み立て姿図は、あくまでもイメージとしてとらえ寸法表記はしない。
その結果として作業者には、組み立て情報以外の情報が伝わらず、効率よく組み立てることができる。
 導入後一週間で、生産量が5割アップした例もある。



床キット指示書
 2Χ4工法における2Χ4構造材供給工場が供給する床パネルは、工場に必要な設備投資や、運送コストを考えた場合、有効とは考えない。
パネル建方工事で使用されるクレーン作業を、1日で完了することが目的であるなら、床パネルと比較して工場の設備投資が安価であり、組み立て作業に必要な労務費もかからない。
さらに、運送コストもかからない床キットによる工法で行う。過去に、50例を越す物件で実施した結果、目的は十分に達成できることが実証された。
 床キットとは、端根太と端根太ころび止め、あるいは、側根太どおしを工場において組み立てる。
現場には、それと床根太がすべてプレカットして搬入される。
まず、端根太と側根太を外周部に取り付ける。
その後、プレカットされた床根太を落とし込むことによって組み立てるれる。



床組み指示書
 床キットの組み立てに使用するばかりでなく、現場での加工組み立てにも十分活用できる。
カットされる根太の種類及びその本数、取り付けられる位置とグリットとの関係を視覚的に表現している。



妻小壁組立指示書およびけらば組立指示書
 コンピューターソフトによって自動計算される。
 構造材および構造用合板のプレカット情報と組み立て情報を指示する。





鉄筋加工指示書
 鉄筋加工指示書を設計積算の段階で作成する。
指示書作成にあたりジョイントされる部材に対して、カットロスを出さないために、片方に定尺材を使用する。
 鉄筋加工図は、どこかの段階で必ず作成するものであり、中途半端な積算と重複する無駄を避けるため、初期段階から作成する。
 指示書の作成にあたっては、コンピューターのソフトによって作業する。そのことによって、指示された内容が積算に連動する。



土台・アンカー取付指示書
 基礎工事における立ち上がり型枠工事から、アンカーセット、土台取り付けに至るまでをこの一枚の中ですべて指示する。